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和牛の育種改良(素人ブリーダーの私見)-第5回-

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2014年4月8日

5、和牛牛産地の興亡 種雄牛の力①

 日本では田畑の耕作や物資の運搬に、馬を使う地域と牛を使う地域があり、牛は主に中国地方などで飼育されていました。
 和牛の歴史や、改良、登録制度の創設などについて、伏見康生先生のコラム(第66話~第91話)に書かれているので、ぜひ読み直してください。

 現在の和牛を考える時、使役牛から肉用牛に大転換できたその要因として、①肉質の遺伝力として但馬牛の存在、②体積の遺伝力として外国種の導入、③凍結精液の使用による改良の速度増進、④交通等の発展による流通の変革、などがあげられます。

 では、これからの和牛の未来、和牛の存在価値として、どのように育種・改良が進んでいくのでしょうか。私たちは、何をどう改良していけばよいのでしょうか。
 いままでは、なかなかサシが入らず、各付けの低い肉は価格が安いからとBMSを高め、また、枝重に応じて売り上げが伸びるため増体にも重点が置かれてきました。
 その結果、サシについては、安福及び安谷・安美系の牛が全国に広がり、増体については平茂勝の系統、北国7の8や花国系の血が広がり、サシもまあまあ入り、枝重も500キロ近くになってきました。

 では、もっとサシが入りBMS10や11を目指すのか、もっと大きく550キロや600キロを目指すのか?
 それとも、むしろ、サシはあまり入らなくても、美味しい肉を目指すのか?
 人によって考えが違う通り、いろんな方向を試しながら、世間(肉屋さん・消費者)の評価を待つことになります。

 ここで、やはり、種雄牛の重要な役割を再確認。どの望む方向へ進むにも、それを実現できる力を持つ種雄牛が必要です。

 今の和牛を作り上げる基になり、また、その地域を産地として発展させた種雄牛たちを改めて見直し、学び、研究することが大切だと思います。
 兵庫の土井系や波系、鳥取の気高(けたか)、島根(岡山)の第7糸桜、そしてこれらの息牛や孫牛の造成方法や、交配方法、そして、なぜ、この牛たちが力を発揮できたのかを学び、真似をしたり、工夫していきたいと思います。

 私個人としては、兵庫の血液率80~90パーセント位で、サシは現状(平均でBMS7~8)を維持しつつ、枝重は平均で500キロ、何より肉の味が良く、消費者に美味しいと言ってもらえるお肉を生産できる種雄牛造成を目指したいと思います。

(つづく)

A5ファーム 日下部俊雄
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