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第372話:検査 |
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2014年4月3日
獣医さんは毎日色々な農場で病気をみています。下痢だ、風邪だ、手術だとなんやかんややっています。牧場にはいつも顔を出しているのでそこの牧場のことは病気に関してはかなりの事がわかっています。病気以外のことまで知っていることも多々あります。あまり知らなくてもよいことまで、知っていることも多々あります(笑)。ちなみに小生はどうでもよい話が大好きで、これらの獣医療にまったく関係ない話の情報収集が結構好きです。
さて、世間話は別にして、農場のことがわかっているといつもと違う病気の出かたに遭遇する時があります。「あれ?なんでこんなに下痢が増えたんだろう」「なんだか治療の反応がわるいぞ?」などなど。臨床獣医師をしていると、このなんだかいつもと違うぞという感覚は非常に大事です。もちろん農家さんもいつもと違うなと感じていますので、このような時に小生は積極的に疑われる疾病の検査をするようにしています。検査は糞便検査から、血液検査、ウイルスの抗体検査など色々あります。検査をすることはある意味当たり前なのですが、どうしてもこのおかしいなと思ってから検査に入るまでのタイミングが遅くなることが多々あります。いかに早く異常を察知して検査を行い、その原因を突き止めるか。検査結果は農家さんと一緒に見て、速やかに牧場の飼養衛生管理の改善に取り組む。この検査結果があることで農家さんの動きが変わります。飼養管理の改善を提案する獣医師の気迫も俄然ちがってきます。
検査ばかりしてしまうのも問題ですが、ややもすると経験ばかりが重要視されてしまう牛さんの臨床現場において、検査というスパイスを利かせることでより良い獣医療を提供していくことは今後ますます重要になってきそうですね。
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