2014年3月18日 3、血統の力、相性の力 ① 矢島さんとは雄が生まれたら私、メスが生まれたら矢島さんと決めていましたが、生まれたのは2頭とも雄牛でした。そこで、私が先に選んでも良いかと聞き、額が四角で頭がごつくて大きいという理由だけで茂重安福を選びました。もう1頭は矢島さんが茂秀福と名付けて自然交配で使用しました。 そのころ、茂重波×安福という同じ交配の先輩の種雄牛が、宮城県の宮福茂をはじめ全国に数頭いたので、その産子を見に行きました。すると、予想通りというか、どの種雄牛の産子も良くそろって、小さくころころとしていました。その印象があまりにも強かったので、ほとんど夢を見ない私ですが、小さくてころころとした茂重安福の子牛が遊んでいる夢を何度も見ました。 岐阜県との全面戦争の後遺症は長く続き、県が誤りを認めても、県内の和牛生産者にはなかなか茂重安福を使ってもらえず、友人の酪農家や、全国で理解をしてくれたインターネットの友人などに授精してもらいました。 待ちに待った、酪農家からの第1報は「60KgのF1子牛が生まれた。この種雄牛は初産には大きすぎて危険だ。」 思わず、私は「そんなバカな、ウソ!!」 見るまでは信じられない。さっそく見に行きました。本当でした。 その後、数年たってから、茂重安福も一人前に和牛に交配してもらえるようになると、特に平茂勝の系統などの交配では、平茂勝の直接の産子とほぼ変わらない枝重になることが分かってきました。F1でも充実した大きい枝肉になります。3代兵庫の種雄牛の中では、抜群の枝重の能力だと思います。 茂重安福の近交係数は、5代祖までで計算すると0パーセントですが、全和で登録のある限りの血統で計算をすると7,8パーセントになります。つまり、近くの血縁では近親交配ではないけれど、先祖をたどると「田尻」が私の調べる限りでも血統の中に約50回出てくるなど、兵庫の血液で固まっていると言えます。 だから、ホルスタインや平茂勝、また糸系など血縁が遠い牛との交配ほど、F1としての雑種効果が強く出るのではないでしょうか。そうとしか、考えられません。 私は、茂重安福の成績が出るにつれ、うぬぼれて、少々自慢の気持ちが出てきました、がしかし・・・ (つづく) A5ファーム 日下部俊雄 |