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和牛の育種改良(素人ブリーダーの私見)-第2回- |
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2014年3月11日
2、種雄牛「茂重安福」造成のきっかけ ②
茂重安福は、茂重波×安福×安光×糸晴波×高栄(鳥取)と3代兵庫の血統です。
この種雄牛造成の第一歩は、一貫肥育生産者の矢島さんにさそわれて枝肉共進会を見に行き、茂重安福のお母さんの「たかこ」の枝肉(父牛は安栄で安福の息娘牛交配)を見たことでした。
感想は「きれい、美しい」の一言で、強く印象に残りました。
その後、間もなくして、岐阜県では県の圧力のため自由な授精卵採取ができなかったので、長野県に見学に行き、そこで完璧な授精卵採取を見ました。
採卵も移植も「これならできる」と実感した私は、すぐに矢島さんに電話し「たかこ」の授精を待つように頼みました。そして、ドナー提供の承諾を得て、交配を考えました。
当時、BMSを中心にした肉質だけを見れば、私の目には、安福×茂重波が最高でした。
サシは細かくきれいで、共進会に出る枝肉はBMSが12と11だけ。
だけど、重大な問題も。それは、枝肉重量がどれも400Kg前後でとても小さい。小さい茂重波の雌牛に安福を交配しては避けられないことでした。
しかし、安福母体なら、大きい牛もいる。私は、この交配を逆にして、大きい安福の雌牛に茂重波を交配したら、枝重を大きくできないかと考えました。
ここで、矢島さんの「たかこ」が登場。
「たかこ」はとても背が高く、体高が140センチメートル近くありました。
血統も、安福×安光と2代兵庫ながらその先に糸晴波×高栄(鳥取)と体積系も入っています。
さらに、安光は安美土井×田安土井の娘牛という息娘牛交配のため「たかこ」は安美土井と田安土井の強度の近親交配です。
父牛の茂重波も茂金波の父娘交配のため、お互いの血縁は遠いものの強度の近親交配同士の交配になります。
そのころ、岐阜県では、安栄×安福娘牛の息娘牛交配でクローディン16の症状が頻発していました。しかし、「たかこ」は兄牛の安栄を何度も交配して、その症状は出ていなかったので、この遺伝病はクリアーできると考えました。後日の検査はフリーでした。
それで、授精卵移植に踏み切ったのですが、思いつきは良くても、そんなに思ったとおりにうまくいくだろうか? この心配は、その後、夢にまで見ることに・・・・

「茂重安福」 体高150cm 9歳6ヶ月齢
(つづく)
A5ファーム 日下部俊雄
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