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ゲストのコラム
和牛の育種改良(素人ブリーダーの私見)-第1回-

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2014年3月4日

1、種雄牛「茂重安福」造成のきっかけ ①

 はじめまして、岐阜県、A5ファームの日下部俊雄と申します。茂重安福(岐阜)という種雄牛を生産しました。どこかで耳にされたことがあるでしょうか。
 私は全くの素人ブリーダーですが、今までに多くの人たちから学んだことや、私なりに感じたこと、思ったことを書いてみたいと思います。

 もう20年ほど前のこと、授精卵移植が始まったころのことです。当時、岐阜県では県有種雄牛か北国7の8以外では受精卵は採取できないことになっていました。しかし、私は北国7の8の精液が入手できなかったので北国7の9という県外精液を使おうとしました。すると、県から(正確には県の職員から)「県の言うことを聞かない者には安福の精液は使わせない」と言われました。
 そこで、私は「それなら、県有種雄牛ぐらいの能力の種雄牛は自分で造る。」と売り言葉に買い言葉で始めたのが、私が種雄牛に関わることになったきっかけです。

 それから、「茂重安福」が生まれてからは、「去勢せよ」の圧力の末、種畜検査を受けさせない、全国和牛登録協会も登録を受け付けない、と岐阜県及び県に従う関係者とのいわば全面戦争になりました。長期の激しいやり取りの末、ホームページでこの状況を公開したことの効果か、最後は国から行政指導がありました。その文書では県が従わなかったため、農水省の職員が直接県庁に来て「県は法に基づいた種雄牛造成に圧力をかけてはいけない。岐阜県は家畜改良増殖法を守りなさい。」と岐阜県の違法な行為を正して解決しました。

 この時、私は「ああ、日本という国は、法律が通るまともな国だ。」と実感しました。
 その時、農水省の職員に「こういうことは、他の県でもあるのではないですか。」と聞くと、「もし、問題があったとしても、当事者が言ってこなければ、国から調べることはしません。」と言い、暗に他県にも同じ問題がると認めました。

 私個人の問題は解決しましたが、岐阜県に染みついた体質は今もなおそれを引きずっていますし、全和の体質も変わっていません。
 和牛の未来は、家畜育種の科学的で道理に基いた取り組みにかかっているのではないでしょうか。

(つづく)

A5ファーム 日下部俊雄
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~ A5ファーム へ ようこそ http://www1.ocn.ne.jp/~a5farm/

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