2014年3月10日 ここ何回か、分娩前後の飼養管理について少し詳しくお話していますが、今回も「分娩前後の低栄養」が及ぼす障害についてお話ししたいと思います。こう言うと、「分娩前後は太らせた方がいいんだな」なんて思われる方がいらっしゃるといけませんから、先にお話ししておきますけど、分娩前後に太ると、それはそれで問題になりますから「”ちょうどいい”を目安にする!」ということが大切なんですよ、ということを強調しておきますね。 さて前置きが長くなりましたが、分娩前後にお母さん牛の栄養が足りないと、お母さん牛は自分を削ってでも子供を育て、ミルクを出そうとがんばります。つまり「体脂肪や筋肉中のタンパク、骨の中のカルシウムなどを削って使うんですね。 牛さんでは脂肪組織でも脂肪を分解してエネルギーに変えることが解っていますが、やはり「脂肪を燃やす」中心は肝臓です。 この繁殖のためにも重要な働きをする「肝臓の」能力が低下するために、繁殖がうまく回らなくなるのです。しかも、どこか一部のホルモンがおかしいという状態ではないので、ホルモン剤で解決しないのです。僕が繁殖障害にパンカル系の強肝剤をよく使うのも、そのためなのですね。 前の記事 分娩前後の飼養管理の問題 その2 | 次の記事 分娩前後の飼養管理の問題 その4 |