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HACCP(ハッセップ)って何?(第5回)

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2014年2月18日

-以外と知られていない消毒のお話-

農場HACCPの実際の中身は、農場の洗浄・消毒プログラムや農場進入者の管理手順書などがあります。その中の農場の消毒マニュアルが、農場を巡回していると、以外と間違った使われ方をしていることが多くあります。具体例の解決法をお話ししましょう。

①畜舎外部に消石灰を散布、畜舎入口の踏込槽には、塩素系の消毒薬(ビルコンSやクレンテなど)を使用してある例
これは、お互いに拮抗してしまって、せっかくの消毒薬も効果が半減しています。消石灰と相性がいいのは逆性石けん類の消毒薬(パコマやアストップ、クレアキルなど)です。そして、踏込槽によく消石灰をそのまま置いてありますが、これもNG。石灰は水と混ざって、初めてph11~12の強アルカリ性となり消毒効果を発揮しますので、粉末のみではあまり効果はありません。ただし、畜舎周囲への散布は、次第に水分を含んで消毒効果は出てきます。

②長靴から病原体汚染について
農場の病原体汚染を考える中で以外と落とし穴なのが、長靴からの汚染です。
川崎武志先生らの報告ですが、長靴で1度納豆菌を踏み、そのまま歩き、約2.5km(3200歩)先までその納豆菌が検出されています。

HACCP(ハッセップ)って何?(第5回)_01

従って長靴は、まずきちんと洗って消毒することが大切ですが、踏込槽は水洗槽と消毒槽の2つがあればベストです。まずは有機物を落とすことです。

HACCP(ハッセップ)って何?(第5回)_02

また、市場や出荷先等の農場外部と内部では長靴を交換することが大切です。そこでの靴を交換する場合も、足跡が交わらないように交差汚染に気をつけて履き替えましょう。

HACCP(ハッセップ)って何?(第5回)_03

今回は、衛生管理の初歩的な話でした、皆さんの意識をもう一度確認していただければと思っています。
次回は、HACCPって何?の最終回です。HACCPの今の状況と、将来の方向性について、お話しします。

執筆者:九州獣医師HACCP研究会 事務局長 川邊久浩

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