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蓮沼浩のコラム
「第131話 「牛床の敷き料交換をしないデメリット(その2)」」

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2009年4月23日

 今回は前回の続きで「田んぼ」状態にするデメリットについての考察の後半です。

(4)敷き料交換が困難を極める。
≪ついに重い腰を持ち上げて敷き料交換に取りかかっても水分含量が多くうまくタイヤショベルのバケットにすくえません。ダンプの荷台に載せても隙間からドロドロもれてきます。あまりにも水分含量が多いので水分調整用として少しはましな堆肥を混ぜてすくうこともあります。当然堆肥の量は半端なく多くなりたった1パドックでダンプ何台分もの堆肥が出てきます。恐ろしく労力がかかります。≫
  
(5)足の病気を見落とす
≪かなり気合の入った「田んぼ」では前膝までつかっています。当然球節や蹄など見えるわけもなく、骨軟症、関節炎などの発見が遅れます。蹄もびっくりするくらいのびていることがあります。さらに困ったことに「田んぼ」牛舎では病気が発見されていてもそのままになっている場合もあります。≫

(6)敷き料交換の後に病気が出やすい
≪今まで生暖かいドロドロの中につかっていた状態から急に乾燥した埃っぽい環境に急変すると発熱などの症状が出る牛さんが出たりすることがあります。環境の激変はやはりあまりよくなさそうです。そして急にきれいな環境におかれたドロドログジャグジャの環境から脱出した牛さんは妙に小さく貧相に見えてしまうことがあります。

思いつくままに書いてみました。まあどうであれ「田んぼ」は世間一般にはとにかくあまりおすすめできる状態ではありません。しかし不思議なことにこのような環境の中でも文句ひとついわずに病気などまったくせずに健気にがんばっている牛さん達がいることも事実です。ドロドログジャグジャの中で元気いっぱいニドガミしている姿を見ると不思議と超ゴキゲンで温泉につかっているように見えてしまったりします。まあ100%小生の目の錯覚なのですが(笑)。残念ながら彼らがどのように感じているかは知る由もありません。良い悪いは別として人間同様牛さんも慣れの動物だな〜としみじみ思います。

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