2014年1月25日 クリプトスポリジウムのオーシストは牛さんに経口摂取された後、オーシスト内に存在するスポロゾイトが出てきて腸粘膜上皮細胞の微絨毛内に寄生します。アイメリア属は上皮細胞内に寄生し、その細胞を破壊することで牛さんに下痢や血便を引き起こしますが、クリプトスポリジウムの場合は微絨毛の損傷により下痢を引き起こします。微絨毛は栄養を分解消化し細胞内に吸収するためのものなので、それが損傷を受けると消化吸収できなくなってしまい下痢になってしまうのです。特に子牛は感受性が強いため粘膜上皮の損傷がひどくなります。微絨毛内に居座ったクリプトスポリジウムのスポロゾイトはその後無性生殖と有性生殖を繰り返しながら増殖し、オーシスト壁の薄いものと厚いものを形成し、薄い壁のものは自家感染をして再び牛さんの体に寄生します。厚い壁のものは牛さんの糞便と共に排出され、次の感染の機会を待ちます。オーシストの体外排出がピークの時、子牛では数百億個ものオーシストが排出されます。 前の記事 第19話:寄生虫の話⑯ | 次の記事 第21話:寄生虫の話⑱ |