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数面麻子のコラム
第19話:寄生虫の話⑯

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2014年1月18日

 

牛さんにおけるクリプトスポリジウム感染は1971年に初めて報告されました。牛さんの腸に寄生するものには、C. parvum, C. bovis, C. ryanaeなどがありますが、その中でC. parvumは人にも寄生します。C. parvumのオーシストの直径は約5.0μmで人の赤血球のより小さいです。(人の赤血球の直径:7~8μm)。そのため寄生虫の簡易的な糞便検査では検出が難しく、抗酸性染色法や直接蛍光抗体法など少し特殊な方法で検出します。
 Eimeria属のオーシストは牛さんの糞便と共に排出された直後は感染力がありませんが、クリプトスポリジウムのオーシストは感染力を持った状態で排出され、中にはスポロゾイトと呼ばれる寄生体が4つ入っています。クリプトスポリジウムのオーシストも乾燥には弱いですが、湿潤な環境や水中では半年~1年も生存し、各種消毒薬に対して大変強い構造をしています。

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