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蓮沼浩のコラム
第362話:で、で、で、出た~~~

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2014年1月23日

 最近は尿石症の手術もめっきり減りました。本当に一昔前とは大違いです。しかし、完全にゼロのなったわけではなく、時々尿石症の肥育牛はでます。「先生、尿石でお腹を痛がっている」との依頼で診療に行きます。陰毛のところを触ってみると、結石が付着して乾燥している状態。直腸検査で尿がパンパンにたまった膀胱の確認。このような典型的な症状であればすぐに手術してOKなのですが、たまに判断に悩む症例があります。尿石症だとの依頼で診察すると、陰毛に結石は結構ついています。そして尿で濡れてもいます。直腸検査で膀胱の張りは約70%程度。そして、排尿するのですが、ポタポタとしている状態。排尿痛は結構あります。もちろんすぐに手術という選択もあるのですが、農家さんの話を聞くと、だんだん尿が細くなり、このような状態が1か月ほど続いているとのこと。こういう場合は尿道内膜の損傷が結構ひどい場合が多く、膀胱炎も併発していたりして手術がやりにくい場合もあります。できることなら内科で行きたい。先日もこのような症例がいました。手術するか悩み、最終的には抗生剤、消炎剤、合成沈痙剤、副交感神経興奮薬、尿路結石排泄促進剤を使った内科的治療を選択。治療を開始します。しかし、すぐに症状がよくなるわけではありません。1日、2日、3日と経過し、牛さんの排尿痛も結構強く出てきています。今回の症例は特に疝痛がひどく、ちょっと焦ります。膀胱は相変わらず70%の張り。水もあまり飲まず、エサもほとんど食べません。注射した後に直腸検査で膀胱を軽くさすったり、陰茎をマッサージしたりしますが尿の出が悪いです。農家さんも内心「すぐに手術したほうがよかったんじゃね~の?」という雰囲気が出てきます。結局最終的に膀胱がパンパンになって手術になったり、気が付いたら膀胱破裂になったりなどという悲惨なパターンが頭をよぎります。毎日何だかヒリヒリした感じになります。しかし本日ついにおしっこが出ました。牛さんが気持ちよさそうに排尿しているではないですか。思わず牧場で「で、で、で、出た――!」と言っちゃいました。ちなみに尿石症の治療をするときは必ずエサのほうからもアプローチすることを忘れないでくださいね。本日非常にうれしかったのでコラムにしてみました。

第372話:で、で、で、出た~~~_01
これだけ出ればひとまず安心

第372話:で、で、で、出た~~~_02
本日おしっこじゃーじゃーです!

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