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松本大策のコラム
パンカルってなに?

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2014年1月20日

 僕は指導のなかでよくパンカルを使います。肺炎の後処置にも使いますし、脂肪壊死症や肝炎、繁殖障害にも頻繁に処方します。そこで、ときどき「パンカルってなんですか?」という質問をいただきます。今回は、そのパンカルについてお話ししてみたいと思います。

  パンカルというのは、正式にはパントテン酸カルシウムという名前の略称です。名前の通りパントテン酸とカルシウムがくっついたものですが、カルシウムはパントテン酸を水に溶けやすくするためにくっつけてあるだけで、カルシウムの働きはさほど期待できません。つまり、パンカルの機能は、パントテン酸の働きによるものなのです。
 パントテン酸は、色々なものに含まれていて、肝細胞をはじめとするさまざまな細胞のエネルギーを作り出す回路を回してくれたり、善玉コレステロールを増やしてくれたり、100以上の酵素の手伝い(補酵素)になったり、ストレスへの抵抗力を高めてくれたりする働きがあります。

  牛さんの食べる草にも含まれていますから、通常はさほど不足を心配しなくてよいのですが、暑さや寒さ、ストレスが強いとき、病気の時、などに不足して身体が正常に働けなくなる結果、肝臓が傷んだり繁殖障害が起こったり、肺炎などの後遺症が治りにくかったりするのです。
 そういうときに、きちんと補ってあげると牛さんは自分の力で治っていくんですよ。

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