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HACCP(ハッセップ)って何?(第2回)

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2014年1月14日

-同じ過ちを繰り返さない農場のためのシステムが農場HACCP-

HACCP(ハセップ)とは、「アメリカのNASAが開発した国際規格であり、食品の安全性を確保するためのシステム」なんて説明すると、農場の人は、もう他人事になってしまいます。私が農場の人に説明する一言目は、「1つ1つの農場作業に正しい手順やチェックリストを作って、大切な工程や作業を確認して生産していく飼養管理方法のことです」と説明しています。例えば、肉用牛を肥育する上で、最も大切なこと、それは水を飲んで、食べること。これが全ての生命体の基本。しかし、現状はどうですか?たくさんの藻や水海苔、なかには糞まで混入している汚い給水槽になっていませんか?先程、除糞で使用していたホウキで餌槽掃除をしていませんか?
小さなカビが混入している乾草ロールを与えていませんか?

HACCP(ハッセップ)って何?(第二回)_01 HACCP(ハッセップ)って何?(第二回)_02
写真①、②餌槽用のほうきやスコップは色付きシールで分けられて使用されています(福岡県の農場HACCP認証の肉用牛肥育農場)

HACCP(ハッセップ)って何?(第二回)_03
③常に清掃されている水槽で綺麗な水を飲む牛(北海道の農場HACCP認証の肉用牛肥育農場)

実は、農場HACCPの最大の目的は、安全な畜産物の生産なのですが、その安全な畜産物の生産のためには、健康な家畜生産という大きなキーワードが隠されています。疾病の殆どは、人が作り出していると言っても過言ではありません。是非、今日から牛の給水器を毎日、清掃してみてください。除糞用のホウキと餌槽掃除のほうきは、区別してください。全体の疾病率の低減につながっていきます。
次回は、農場HACCPの実践例についてお話しします。

執筆者:九州獣医師HACCP研究会 事務局長 川邊久浩

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