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蓮沼浩のコラム
「第99話 「バシャバシャが聴こえる! その1」」

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2008年9月4日

 今回は肥育牛の診療でどのようなときに拍水音が聴こえるのか紹介しましょう。まず左腹部の場合ですが圧倒的にルーメンから聴こえる場合が多いのではないでしょうか。何かしらの原因でルーメンマットが消失し、ルーメン内は液体とガスのみとなります。ピング音も聴こえることも多いですね。肥育牛では急激な飼料の変更後の過食のときなどによくこの症例に遭遇するような気がします。そしてこのような症例がでる農場は大体決まっています(笑)。肥育牛ではないのですが黒毛和種の生産牛でも子牛の餌を盗食してすさまじい拍水音が聴こえたこともありました。とにかく原因は何にせよルーメン内が破綻したときにこの音は聴こえるので診療では注意するようにしています。しかしここで問題があります。以前も書きましたが、明らかにルーメンの拍水音であると聴診でわかる場合はいいのですが、時々これは四胃の音ではないのか??と疑われる症例がいます。ピング音もしっかりと聴こえ、非常に判断に苦しむ場合があります。どのようにして手術以外の方法ではっきりと確定診断をくだすのか。今後の小生の課題であります。
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