2013年12月3日 ⑥趾皮膚炎に対するドロマイト石灰の効果の検証( 結 果 ) ドロマイト石灰乳処置を5頭に行った結果、いずれの個体においても約1週間程度で疼痛が和らぎ、患部皮膚が暗赤色に変化し、皮膚組織を手で容易に剥がすことができました。そして、処置から2~3週間程度で治癒することが確認されました。また、処置前の患部組織からは原因菌とされているスピロヘータが多数確認されましたが、処置2~3週間後には患部組織からスピロヘータは確認されていません。 ドロマイト石灰乳の効果として 強アルカリによる細菌及び皮膚組織の変性・溶解作用により、原因菌が死滅し組織の新生が早まったものと考えられました。また、今回処置した牛5頭全てにおいて趾皮膚炎が治癒したことから、ドロマイト石灰処置は趾皮膚炎に一定の効果があり、硫酸銅の代替品としても有効であると思われました。 削蹄師からは、硫酸銅ほどの即効性はないが、取扱いやすく蹄患部への付着性が良い、農家からは、硫酸銅と比較し痛みが全くないと良い評価を得ています。 以上、良いこと尽くめで話が終わる予定でしたが、世の中そう簡単に上手く行くものではありません。治癒からしばらくして再発する牛が出てきたのです。 原因は牛床の環境にあると思われました。この牛舎は常に牛床が糞尿で湿っており、ここに新生した皮膚が露出状態でくっつくと、容易に再感染があると考えられました。よって、ドロマイト処置と併せて牛床の環境整備(清掃や消毒)が必要不可欠であると思います。日頃から常に牛床が乾いた状態であれば、趾皮膚炎の感染や広がりは無いのではないかと思います。 次回は最終投稿となります。 (つづく) 鳥取県西部家畜保健衛生所 衛生指導担当 |