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ゲストのコラム
鳥取県の家保からこんにちは。(第五回)

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2013年11月26日

⑤趾皮膚炎に対するドロマイト石灰の効果の検証( 方 法 )

 従来、削蹄時に趾皮膚炎が発見された場合、硫酸銅による処置が行われてきましたが、強酸性による激しい痛みのため、一時的に乳量が低下するなどのマイナス面がありました。また、環境蓄積が問題となり、現在その使用が制限されています。以上の背景から、これに代わるものとして、ドロマイト石灰に大きな期待が寄せられていました。

 当試験では、ドロマイト石灰が趾皮膚炎に対しどの程度有効なのか、その結果如何で硫酸銅の代替品になり得るのか併せて検証を行いました。

 協力農家は、対頭式牛舎で搾乳牛32頭を飼養、年2回の削蹄を実施していますが蹄病が多く、特に趾皮膚炎が多い傾向にあります。蹄病の発生頭数は、32頭中9頭の28.1%、趾皮膚炎が9頭中5頭の55.6%と、蹄病の半数以上を占めています。

鳥取県の家保からこんにちは。(第五回)

 写真にドロマイト石灰乳塗布の手順を示しました。まず蹄を水できれいに洗浄し、ドロマイト石灰と水を1:1で混合した乳剤を患部に塗布し包帯を施します。包帯は約1週間で外し、その後は1週間ごとの経過観察を行いました。※経過観察時には蹄を洗浄しドロマイト石灰乳を塗布するのみ。

 その他、ドロマイト処置前後の患部の組織を切り取って病理検査を行いました。また、疼痛を数値化(背線・負重の均等性・負重時間・重症度)することで炎症の程度を把握し、治癒の判断材料としました。

結果は次回に。

(つづく)

鳥取県西部家畜保健衛生所 衛生指導担当
係長 大下 雄三

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