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池田哲平のコラム
牛の解剖133:雌性生殖器の病気―総論―

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2013年11月29日

 今回からは雌の生殖器に起こる病気をいくつか見ていきたいと思います。

 雌の生殖器の病気と言うと、いわゆる“繁殖障害”として一括りに扱われる卵巣や子宮の病気を思い浮かべる人が多いと思いますが、それは生殖器の病気の一部でしかありません。畜産や酪農という産業を成り立たせるためには、どうしても繁殖効率を求めていくことになるので、これらの疾患に注目が集まり、治療法や細かい病因の分類を記載した成書や論文も多数あります。

 しかし、これらに比べると他の生殖器の病気は、案外、取り上げられていることも少なく、体系立ててまとめられていないものもあります。生産性に大きな影響が無かったりするものもありますが、油断していると重症化し、命にかかわる病気まであります。

 ということで、繁殖障害に関わる卵巣や子宮の病気の話はとりあえず置いておいて、今回から数回はそれ以外の病気を見ていきたいと思います。肥育のメス牛で起こりやすいものや、繁殖雌牛が分娩時に起こす病気まで様々ですが、ちょっとでも皆さんのお役に立てるような内容にしていきたいと思います。

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