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池田哲平のコラム
牛の解剖132:雌性生殖器(15)

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2013年11月22日

(5)陰核、(6)陰唇

 膣から膣前庭を経て、メスの生殖器は外陰部(外部生殖器)へと繋がっていきます。メスの外陰部は専門的には“陰門(いんもん)”と呼ばれますが、我々の診療エリアでは通常“スソ”と呼んでいます。

 「スソから粘液が出ていて、どうやら発情が来たみたいだ」
 「破水が終わって、スソから子牛の足が出てきている」

 なんて言ったりしています。こういう表現には結構地域性があると思うんですが、皆さんの地域では別の呼び方をしていたりしますか?

 と、少し話は逸れましたが、この陰門部には2つの生殖器が存在します。1つは“陰核(いんかく)”、もう1つは“陰唇(いんしん)”です。発生のもとをたどっていくと、どちらもオスの外部生殖器と同じ起源をもっていて、陰核はオスの陰茎亀頭に相当し、陰唇は亀頭以下の陰茎の一部や陰嚢に相当します。

牛の解剖132:雌性生殖器(15)

 陰核も陰唇も毛細血管が豊富なので、特に陰唇は発情期には血流量が多くなることで通常よりも腫れぼったく膨れるように腫脹します。明確な発情行動が見られなかったり発情粘液が確認できなかったりする場合でも、この外陰部の腫れ具合を見れば、発情かどうかの判断の一助になる事もあります。

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