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蓮沼浩のコラム
「第95話 「肥育牛のピングテスト雑感 その1」」

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2008年7月31日

 肥育牛の聴打診をしていてピング音が聴こえる場合どのようなことが考えられるのでしょうか。小生はこのピング音が聴こえる原因は乳牛の場合と肥育牛ではかなり違うのではないかと考えています。まず牛さんの体の右側にピング音が聴こえる場合、乳牛では第四胃右方変位、第四胃捻転などの可能性が高く、緊急に手術が必要な場合が多いのではないでしょうか。しかし肥育牛では右側にピング音が聴こえても第四胃右方変位、第四胃捻転などの急激で激烈な症状を呈することは今までの経験ではほとんどありません。それでは一体何が原因でピング音が聴こえるのかをと場へ確認に行ったところほとんどが盲腸拡張や脂肪壊死症が原因で盲腸や結腸にガスがたまっていました。これらの疾病は発見が遅れ末期でなければ緊急性はそこまで高くないのですが残念ながら予後不良となり早期出荷をする確立が高いです。他にも原因は多々あると思いますが肥育牛の右側にピング音が聴こえた場合は生後月齢にもよりますがとにかくまず小生は速やかに直腸検査を行い脂肪壊死症の有無を確認するようにしています。そしてそれから色々考えます。
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