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蓮沼浩のコラム
「第94話 「叩いて聴く!」」

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2008年7月24日

 聴診は聴診器をあてて耳を澄まして音を聴く聴診以外にあと二つのテクニックがありますので今回からはそれらを紹介していきましょう。最初のテクニックは「聴打診(ちょうだしん)」もしくは「叩打聴診法(とうだちょうしんほう)」。これらは同じことをあらわしています。一般的には「聴打診」ということが多いですが「叩打聴診法」と記載されていることもあります。やり方は簡単で聴診器をあてている手とは逆の手の指でお腹をはじき、そのときの音を聴きます。これは牛の獣医さんでは必須のテクニックであり指ではじいたときの音で主に消化管の中にあるガスの状態などを推察します。有名な例では牛さんが第四胃変位という疾病にかかっているときなどは聴打診したときに「キ〜ン、キ〜ン」「ピ〜ン、ピ〜ン」「カン、カン」などと非常に特徴的な音が聴こえてきます。この音は「金属性反響音(きんぞくせいはんきょうおん)」というのですが別名「ピング音」といいます。この音が聴こえるか確認することを「ピングテスト」といいます。「金属性反響音」よりも「ピング音」の方がいいやすいので現場ではさらに略して「うへ、ピングがバリバリ聴こえるぜ、まいったな〜。」とか「めちゃピング強え〜よ! Σ(;`ロ´)」などと使っています。この音が聴こえるという事はどのような牛さんにせよあまり状態はよくないです。本来聴こえてはいけない音なのです。とにかく診療中にあまり聴きたくない音ですね〜。
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