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今回からは肥育牛の第一胃の聴診について説明していこうと思います。獣医さんが聴診器を牛さんのお腹の左にあるへこんだ場所にあてているところを見たことがある人は多いのではないでしょうか。この左側のへこんだところは「左膁部(ひだりけんぶ)」といいます。そしてこのへこんだところの中に第一胃があります。ここに聴診器をあててしばらくそっと耳をすましていると「ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・」と第一胃が動いて内容物を攪拌している音が聴こえてきます。生産牛では特にはっきりと聴こえます。獣医さんは実はこの「ゴゴゴ・・・」という音を聴いていたんですね〜。大体この音は約1分間に1回聴こえます。健康に餌を食べている牛さんはこの音がはっきりと聴こえるので治療していた牛さんの第一胃が「ゴゴゴ」ときたら小生はうれしくなっちゃいます。それでは問題の肥育牛ではどうでしょうか?小生の経験からは生後12ヶ月ぐらいまでは結構はっきりと第一胃の動きは聴診で聴き取ることが出来ます。「ゴゴゴ」バリバリです。しかし濃厚飼料が打ち込まれ肥育がどんどん進んでいくと徐々に第一胃の動きは鈍くなってきます。そして肥育も1年を過ぎてくると「ゴゴゴ」はほとんど聴き取れなくなってきます。かすかに動いているのかな?という程度です。出荷前の牛さんなどはほとんどわかりません。元気に餌をモリモリ食べていても「ゴゴゴ」がないのです。原因は勉強不足のためわからないのですがルーメンマット形成の問題や慢性的なルーメンアシドーシスなどが関係しているのかな〜などと推測しています。肥育前期ではあんなにはっきりと「ゴゴゴ」が聴こえたのに何だか寂しいかぎりです。 |