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松本大策のコラム
日本牛肉協会のお話し

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2013年11月18日

 みなさん、今回はがらっと内容を変えて「日本牛肉協会」のお話をします。これは、仲間数人と3年ほど前から考えていたもので、今年の2月26日に正式に一般社団法人として登録を受けました。

 いったいどのような会なのか?というと、牛肉の新しい価値観を普及して、再生産可能な価格で流通させよう、というのが趣旨です。これに絡んで、赤身肉の価値も高めて、霜降りとは別の価値観を形成することで、肥育期間や給与飼料の軽減を図り、地球(とくに飢えた人たち)にも、環境にも優しい畜産を提唱しようというものです。

 もちろん「霜降り」は日本の宝ですし、決してこれを否定するものではありません。ただ、生産者全員が「霜降り」だけを目指すと、かえって「霜降り」の価値を低くしてしまいます。だって、ダイヤモンドがそこらじゅうに転がっていたら、ダイヤモンドにお金を出す人なんていないでしょ?
 経営学者のフィリップ・コトラーは、「すべての企業は時間と労力をかけて他者と同じものを作っている」という警鐘を鳴らしていますが、「競争力をなくすための努力」という意味では、畜産の世界も考えた方がよいのではないかと思うのです。

 これは、「いかに霜降りの入った高級肉を作るか」を4半世紀追い求めてきた僕には、なんだか自己否定みたいな気持ちもあるのですが。それでも「霜降り」の価値を高めるためにも、牛肉の別の価値観を消費者の方々に持っていただくためにも、広告や宣伝活動も含めた啓蒙活動と、新しい価値観の牛肉を実際に流通まで結びつける働き、この2つは、これからしっかりやっていかなくてはならないと思っています。

 先日は農林水産省生産局畜産部にも3回目の趣旨説明と協力支援のお願いに伺ってきました。ありがたいことに応援してくださるということになりました。この会には、いま日本中でブームを起こしている「唐揚げ」の仕掛け人、から揚げ協会専務理事の八木さんにも顧問になっていただいています。

 まずは、超短期肥育(19ヶ月齢)と経産牛肥育の生産と流通に取り組んでいきますから、自分も一緒にやってみたいという方や、興味を持ったという方はご連絡ください。連絡先は、いつものシェパードのメールでも結構です。

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