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松本大策のコラム
冬のウェルカムドリンク

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2013年11月11日

 フィリピンでは史上最大級の台風で甚大な被害が出ていますね。なくなった方のご冥福と、被害を受けた方々の救護をお祈りします。
これも地球温暖化のせいなのでしょうかね。どうなっちゃうんだろ?

 とはいいながらも、日本はそろそろ寒い冬の足音が聞こえてきました。遠くの市場から導入した牛さんたちは、輸送の疲れや不安・見知らぬ牛さん同士のストレスなどで、免疫が低下します。導入後1週間くらいから肺炎がはやる原因の1つですね。
 この免疫低下に拍車をかけているのが、「お腹を冷やすこと」です。その1つの原因が、長距離輸送で疲れて、また喉も渇いているので、牛小屋に入れるとグビグビと水を飲むことにあります。

 先週も書きましたが、腸が1℃冷えると免疫は8%程低下します。牛さんの腸は、第一胃の右側にへばりつくようにしてくっついているので、急に冷たいお水をグビグビと飲ませると、第一胃の壁越しに腸が冷やされてしまうのです。もちろんお腹を壊す原因にもなりますし、免疫を低下させる恐れもあります。

 そこでお勧めしているのが、「冬のウェルカムドリンク」です。1頭あたりバケツ1杯のお湯(体温程度の暖かさです)に、一般ふすまをひとつかみ、お塩もひとつかみ入れて飲ませてあげます。ふすまは第一胃の微生物の餌になりますし、いきなりガブ飲みできません。それに冷水ではなく温かいお湯なのでお腹を冷やすこともありません。輸送中に水分と一緒に奪われた塩分も補給できるので、牛さんの疲労回復にも役立ちます。

 この、ちょっとした「おもてなし」がオリンピック招致、じゃなくて牛さんの冬場の健康管理に大きく役に立つのです。

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