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松本大策のコラム
久しぶりに子牛のお話

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2013年10月28日

 もうすぐまた寒い冬が来ますね。冬場というと、やはり子牛のような幼弱動物が弱りやすい季節です。追い打ちをかけるように、いろいろなウイルスも流行します。今のうちからしっかり備えておかなくっちゃいけません。

 冬場に最も注意しなければならないのは、「寒さ」です。
 まず、子牛のお腹をはやさないように注意する必要があります。バイ菌をやっつける力の源である「免疫」の中心は、小腸にある「腸管免疫機構」という部分、つまりお腹なのです。
 お腹が冷えると下痢したりしますが、それ以外でもお腹が冷えるとまずいことが起こります。じつは、お腹の体温が1℃下がると、免疫が8%も低下するのです。
 ですから、子牛のいるところの床がぬかるんでぐちゃぐちゃなんてもってのほかなのです。確かに敷料などの問題があるので難しいことなのですが、子牛が病気をした後にお薬代や獣医さんの治療費にお金をかけるより、餌に向かないくらいボロの粗飼料を使ってでもお腹を温かくしてあげた方がずっとお得です。

 それから、冬場は「子牛の低体温症」が発生しやすい時期です。環境温度が低いので、子牛が体温を奪われて冷たくなってしまうのですが、「これは大変だ!」とばかりに、お風呂を沸かして子牛を浸けて暖めると、神経症状を起こして死んでしまうことがあります。これは急に暖めたために子牛の血液が固まって血栓を作ってしまい、脳血栓を起こすためです。冷たくなってしまった子牛を暖めるときは、30分に0.5℃程度ずつ体温を上げる位のスピードがいいです。
 電気毛布などでくるんであげると、ちょうどいい感じですよ。おねしょ対策で感電防止対策もしてありますし、季節外れの時に買うと1,980円程度で買えますしね。

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