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蓮沼浩のコラム
「第80話 「あて方により音が違う」」

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2008年4月17日

聴診器の基本テクニックのひとつですが、聴診器をあてる力を加減することで低周波音と高周波音を聞き分けることが出来ます(聴診器によっては出来ないものもあります)。普段の肥育牛の聴診では聴診器のチェストピース(皮膚に当てるところ)を軽くあてて聴診をします。この状態だと主に低周波音を聞き取ることが出来ますが、高周波音も結構取れてしまうので小生の感覚だと色々な高さの音が聞こえ、やや音が騒がしいような気がしています。心音を聞いたりルーメンの音を聴診したりと普段の聴診では別にこれでよいのですが、肺の聴診に関してだけは少しでも気管支狭窄音やラッセル音のような異常音が聞き取れた場合は強く押しあてて高周波音モードに切り替えてよく聞くようにしています。高周波音モードにすると周りの低周波音がカットされて高周波音だけになるので肺の異常音だけが鮮明に聞こえるようになります。低周波音モードではあまり聞こえなくても高周波音モードでかすかに聞こえる肺音の異常があるときは注意して治療しています。低周波も高周波もまったく関係なくバリバリ異常音が聞こえるときは・・・・・肺炎との厳しく苦しい戦いに突入です!!
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