(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
数面麻子のコラム
第9話:寄生虫の話⑦

コラム一覧に戻る

2013年10月19日

 アイメリアの薬といえば・・・、サルファ剤そして子牛の予防薬として使えるトルトラズリル製剤(バイコックス)があります。しかし、鶏にはアイメリアのワクチンがあるのです。鶏の世界では昔からアイメリアに悩まされていたようで、研究も牛に比べてずいぶん進んでいます。このワクチンというのはまさに再感染抵抗性を利用したものです。
ワクチンに使われるのはもちろんアイメリアなのですが、鶏に病原性を持たないワクチン株アイメリアのです。病原性はないのですが抗原性は一緒であるため、ワクチン株が鶏体内に寄生すると免疫細胞がしっかりとアイメリアを敵として記憶します。その後、病原性を持つ同種のアイメリアが侵入してきても免疫細胞はそれをきちんと同じ敵として認識してやっつけてくれるのです。
 残念ながら、牛さんではワクチン株のアイメリアは見つかっていません。牛さんの場合は鶏のようにあまりサルファ剤耐性のアイメリアが存在しないことや、研究開発するにおいて経費や環境的問題で難しいからではないかと思っています。

|