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数面麻子のコラム
第8話:寄生虫の話⑥

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2013年10月12日

 前回のコラムで再感染抵抗性について少し話しましたが、今回もそのことについてもう少しタラタラとお話します。
 この再感染抵抗性はかなり種特異的にしか働いてくれません。たとえば、初めてボビスに感染した牛さんの免疫細胞は「ボビスは体内で悪さをする悪いやつ」として記憶します。その後、2回目の感染が再びボビスであれば牛さんは免疫の力でボビスが上皮細胞に寄生するのを防ぐことができるのです。しかし、ボビスではなく別の種類のツルニが感染してしまった場合は免疫細胞が「ツルニ?なんだろう」ということで攻撃せず、牛さんの消化管はやられてしまいます。もちろん1度寄生したツルニに対しても「ツルニも敵だ」ということで免疫獲得して次回からは免疫細胞が働いてくれるようになります。
 しかし、動物体内でいったい何の免疫細胞がどのように働いて再感染抵抗性を獲得しているのか、また1度獲得した抵抗性がどのくらいの期間持続するのかはまだ分かっていません。これらが明らかとなれば、アイメリア対策において画期的な薬が出てくるのではないかと思います。

第8話:寄生虫の話⑥

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