(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
「第74話 「牛さんの体温の基礎知識」」

コラム一覧に戻る

2008年2月28日

 色々体温の話をする前に一応牛さんの体温についておさらいしておきましょう。まず正常な体温ですが、成牛ならば教科書では38.0〜39.0℃が基本。小生も肥育牛の診療で38℃台なら平熱と判断します。人間よりも大体2℃ぐらい高いですね。子牛は成牛よりも若干体温は高く、教科書では38.5℃〜39.5℃ぐらい。小生は生まれてまもない子牛が38℃台なら平熱、39.5℃の場合は少し高いのではないかな?と判断し、臍帯炎のチェックなどは必ずします。通常朝よりも夜のほうが0.1〜0.5℃高いそうですが実際の現場の治療ではあまり重要視していません。雌の場合は直腸で体温が測れないときには膣で体温を測ります。幾分直腸の温度よりも低いそうですがよく考えたら一度も測ったことがないのでなんともいえません。直腸検査の後や肛門括約筋が弛緩している場合などうまく体温が測れないときがあるのですが、このようなときに使うそうです。そうならないために、直腸検査をする前に体温は測っておきましょうね。一度肥育牛で「鎖肛(さこう)」という肛門がない奇形の牛さんがいました。なんと膣の内壁に直腸が開通しており、膣から排便していました。しかしこの牛さんは元気バリバリで一度も病気をしないで出荷までいってしまったので体温を測るチャンスがなかったです(笑)。今度ためしに雌牛の膣と直腸の温度を両方測ってみようと思っています。
|