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蓮沼浩のコラム
「第68話 「牛の肺の家畜解剖学 (前編)」」

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2008年1月17日

 今回は牛さんの肺の家畜解剖の説明です。そういえば小生は家畜解剖学を学生時代は専攻していました。イノシシの骨の比較形態計測学という超古典的な世界にどっぷりつかっていた日々を思い出します。非常に地味な学問でしたがひたすら骨を手にとって観察し、記録していく。学問と研究の原点を見ることが出来たような気がしています。
閑話休題
さて、肺は右と左の二つに分かれているのですが、牛さんはさらに細かく左側は3つ、右側は5つに分かれて合計8葉あります。この分かれている一つ一つを「肺葉(はいよう)」というのですが、牛さんは家畜の中で一番この肺葉の数が多いのです。ちなみに馬は5葉、豚、犬、兎は7葉です。人間はというと5葉あります。そして牛(反芻類)と豚にだけ「気管の気管支」といわれる気管分岐部より以前に右肺に向かって伸びる特別な気管支がのびています。これがあるので他の家畜と比べて肺が細菌や汚染物などに暴露される確立が高くなっていると考えられています。次回はちょっと難しいけどもう少し細かいところを説明しますね。
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