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重症の慢性肺炎は獣医さんが診療していて非常に嫌な疾病のトップ3に入るのではないでしょうか?そんな嫌な慢性肺炎に対して輸血をすると効果があるという報告が出ています。その根拠を簡単に述べると「重症肺炎の牛さんは血液凝固亢進異常が起きており、いわゆる代償性DICという状態におちいっている。また、プロトロンビン時間が正常牛と比べ明らかに延長している。このような状態の牛さんは抗生物質だけで完治させることは困難であり血液凝固亢進異常を改善する治療を併用したほうがよい。ヘパリンはアンチトロンビンⅢを活性化することによって血液凝固異常を改善する。しかしアンチトロンビンⅢは80%以下に低下していると出血傾向が増し症状を悪化させる危険があるので輸血を併用することによりアンチトロンビンⅢを補給したほうが良い。」ということです??ちょっとわかりにくい説明ですみません。とにかくヘパリン加輸血は慢性肺炎に効果があるということだけは確かなようなので小生は「どうしようもない時」に使う場合があります。一応投与量は500ml(ヘパリン5000単位)/50kgとなっております。ただ、300kg程度の肥育牛の場合6Lとなり多すぎるのでちょっと少ないかもしれないけれど1回1Lを3日ほど続けます。今まで肺炎に投与してきた感想としては「いいような気もするけど・・・・。」という奥歯に物が詰まったような何ともいえない表現。やはり肺炎は強敵です。しかし輸血してすごいよかったという症例もあるのであまり使う機会はないと思いますが、肺炎に対する治療のひとつの武器としてもっておいても損はないテクニックだと思いますよ。 |