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蓮沼浩のコラム
「第54話 「貧血」」

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2007年10月4日

 毎日往診を回っていると非常にまれですが「貧血」の牛さんに遭遇するときがあります。そしてこの「貧血」の牛さんの典型的な特徴は結膜や膣粘膜が異常に白いことです。とにかくびっくりするぐらい真っ白です。いつもは温かくてやさしい瞳をしている牛さんの目に生気が無く、冷たく澄んだ寂しい目をしています。このような場合血液検査をするとPCV(ヘマトクリット)の値が10%台のことが多く、かなりの「貧血」が進んでいることがわかります。でも診断は血液検査をしなくても臨床症状やその時の状況から意外とつけやすいです。それでは小生が今まで経験してきた貧血の症例をあげてみますね。

① 第四胃潰瘍からの難治性の持続的出血。便はずっと真っ黒です。
② SPAY(卵巣割拠)失技からの持続的出血。緊急の場合が多い。
③ CHS(チェジアック・ヒガシ症候群)の牛さんの巨大な血腫。治癒までに非常に時間がかかります。

他にもお産の後や手術中の異常な出血、放牧牛のピロプラズマ感染などがあるかもしれませんが、小生はまだ経験したことがないのでここでは除外しますね。一応重度の「貧血」が疑われる①〜③のような場合に小生は輸血を積極的に行います。そして輸血はかなり効果があるのでは?と今まで治療してきて実感しています。特に②の場合など生死にかかわる場合が多いので速やかに輸血をしたほうがよいでしょう。また原因がわからなくてもPCVが10%台以下に落ちていたら輸血は積極的にチャレンジしてみる価値はあると思っていますがどうでしょうか?

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