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池田哲平のコラム
牛の解剖119:雌性生殖器(2)

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2013年8月23日

(1)卵巣

牛の解剖119:雌性生殖器(2)

 牛さんの卵巣については皆さんよくご存じだと思いますが、ちょこっと概略を挙げていきます。

 卵巣の働きは、子孫を残すために卵子を排出し、雌性ホルモンを産生する事です。オスの場合の精巣が、精子を作り雄性ホルモンを産生しているのと似ていますね。ただ、精子がほぼ無限に産生されるのに対して、卵子の数は出生前後のある時点で決まってしまいます(詳細は後日)。

 そしてもう一つオスとメスとの違いは、発情周期が存在すると言う事です。動物によっては季節によって発情が来たりそうでなかったりするのですが、牛さんの場合、発情は季節関係なく一定の周期をもって巡ってきます(月齢や種によって差はあるが、概ね18~24日周期と言われています)。妊娠していない個体であれば、この短い周期のなかで卵巣はダイナミックな構造変化を見せ、その変化に応じて産生されるホルモンの量や種類が変わってきます。この構造変化は目で見て分かるだけでなく手で触ってもわかるので、我々は直腸検査によって直腸越しに卵巣の状態を把握することができるのです。

 見た目だけでなく、顕微鏡的に見ても細胞の配置なども大きく変わります。ここまで大きな変化を見せる組織(臓器)は体の中で他にはないので、そう考えると、卵巣は非常にユニークな臓器だと言えます。

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