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池田哲平のコラム
牛の解剖117:雄性生殖器(10)

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2013年7月19日

(9)包皮
牛の解剖117:雄性生殖器(10)

 オスの生殖器の最後は包皮です。包皮は陰茎が露出してくる部分で、皮膚の一部が反転し、内側の粘膜部分はそのまま陰茎へと繋がっていきます。

 包皮は陰嚢と共にオスの外部生殖器として存在し、外貌からオスとメスとを見分けるときの特徴の一つになります。後ろ足の間にある陰嚢に比べて、お腹の真ん中にある包皮は非常に見やすいので、私は実際に現場でウシを見るときには、包皮の有無でオスとメスを区別しています。

 また、包皮に付属して存在する陰毛は、尿石症の大事なチェックポイントになります。陰毛は普段は尿が出ることによって湿っていて、何も付着していないか堆肥(牛床の糞尿)が少し付いているくらいですが、尿石症の場合には陰毛に結石が付着していたり、病態が進行して尿が出ない状態になっていれば、陰毛がカラカラに乾いている場合があります。去勢牛を飼っている方は要注意ポイントですね。詳しくは、過去の尿石症のコラムをご覧ください。

 次回からは、オス牛でよくある生殖器の病気をみていきたいと思います。

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