2013年7月9日 第2選:「海辺のカフカ」村上春樹――「君は自分で理解しなくちゃならない」 入道雲を見ると読みたくなる「海辺のカフカ」。村上春樹は好き嫌いがはっきり分かれる作家の筆頭ですが、数ある彼の名作のなかでも最もクセがない1冊ではないでしょうか。 「目を閉じちゃいけない。目を閉じても、ものごとはちっとも良くならない。目を閉じて何かが消えるわけじゃないんだ。それどころか、次に目を開けたときにはものごとはもっと悪くなっている。私たちはそういう世界に住んでいるんだよ、ナカタさん」 「僕がほしいのは外からやってくる力を受けて、それに耐えるための強さです。不公平さや不運や悲しみや誤解や無理解―そういうものごとに静かに耐えていくための強さです」 「すべての物体は移動の途中にあるんだ。地球も時間も概念も、愛も生命も新年も、正義も悪も、すべてのものごとは液状的で過渡的なものだ。ひとつの場所にひとつのフォルムで留まるものはない。宇宙そのものが巨大なクロネコ宅急便なんだ」 (つづく) 黒沢牧場 上芝舞子 前の記事 舞子ぷらずま☆—今牛舎で読みたい本10選—第1回 | 次の記事 舞子ぷらずま☆—今牛舎で読みたい本10選—第3回 |