2013年6月18日 9 初出荷で高値に大喜び(新ひだか町静内にて) 新ひだか町静内は、軽種馬生産が盛んな北海道でも有数の馬産地です。景気が良かった頃は、地方競馬や中央競馬の競走馬として、馬市場で高く買い取られました。しかし、バブルがはじけて以降は馬券の売り上げ低下とともに、産駒の価格は下がり、馬だけでは経営が厳しくなりました。そこで豊富な草資源と畜舎、それに家畜を養う技術を生かして黒毛和牛を経営に取り入れることを、町やJAが生産者役員とともに推進しました。 私はちょうど和牛の導入が始まったころ、鵡川町から静内に転勤しました。和牛を飼い始めた農家さんのために、まずは基本マニュアルを作成しその通りに飼養管理するよう徹底しました。分娩や子牛への対応などは、昔から和牛を飼っていた町内の先輩農家さんに聞きながら取組み、先輩農家さんの親身なアドバイスもあり2年目には家畜市場へ初出荷することが出来ました。 指導機関が言った通り管理した子牛たちが、市場でどう評価されるかが気がかりで私も家畜市場へ見に行きました。初出荷の去勢牛はどんどん競り上がり、670千円まで値段が上がった時には生産者も驚きの声をあげました。先日、静内和牛改良組合10周年祝賀会でその生産者とお会いした時に、お互いその時の様子を鮮明に覚えていることで話が盛り上がりました。ほかの出荷牛も市場平均より50千円以上高く販売でき、静内のこれまでの取り組みが正しかったことが証明されました。農家さんの和牛飼養管理に対する真剣な取り組みが、良い結果を生んだと言えます。 和牛の子牛は人間が手をかけるほど、きちんと発育してくれます。静内では女性たちが牛飼いに熱心で、女性の感性で子牛を育てていることも好結果につながっていると思います。私はこれまで、改良組合女性部研修の講師を色んな所で勤めてきましたが、女性のほうが素直に話を聞いてくれ、真剣さが伝わって来たように思います。 つづく 根室農業改良普及センター 出雲 将之 前の記事 牛さんとわたし (出雲普及員のコラム4-8) | 次の記事 牛さんとわたし (出雲普及員のコラム4-10) |