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池田哲平のコラム
牛の解剖114:雄性生殖器(7)

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2013年6月14日

(5)精嚢腺、(6)前立腺、(7)尿道球腺
 精巣でつくられた精子は精巣上体→精管と運ばれていき、その後、陰茎(尿道)を通って体外に射出されるわけですが、その射出されたものを一般的には“精液”と呼びます。人工授精の時にストローに入っているものですね。精液と呼ばれるという事はつまり、精子以外の液体成分がたくさんは含まれているという事です。この液体成分などを分泌しているのが“副生殖腺”と呼ばれる精嚢腺前立腺尿道球腺です。

牛の解剖113:雄性生殖器(7)

 精管を通ってきた精子は膀胱の真上にある精管膨大部というところに一時的に蓄えられます。そして、その直ぐ後ろにある精嚢腺と前立腺で分泌される分泌液と共に、尿道に出ていきます。この分泌液は、精子が活性を維持して生き残るために必要な成分(エネルギー源となる果糖や、活性を保つために必要な各種の酵素)が含まれていて、分泌液そのものは弱アルカリ性になっています。さらに後方にある尿道球腺からは、やや粘り気のある弱アルカリ性の液体が分泌されますが、これは精子が尿道を通る前から分泌されています。というのも、一般的に尿道は精子が活性を保ちにくい弱酸性の環境であるのですが、その逆の弱アルカリ性の分泌液で洗うことで、精子の生存・活性維持に適した環境を提供することが出来るのです。

 こうして、精子はめでたく精液として完成するのです。

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