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蓮沼浩のコラム
「第21話 「必殺!坐骨直腸窩膀胱瘻形成術」」

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2007年2月17日

 どうにかして膀胱までカテーテルを通したいのにどうしても通すことが出来ない。このままではこの牛さんは諦めるしかないのか・・・、という絶体絶命のピンチに活躍する手術があります。これは坐骨直腸窩膀胱瘻形成術(ざこつちょくちょうかぼうこうろうけいせいじゅつ)という何とも長ったらしい名前の手術方法であり特別な手術器具が必要なのですが、これが出来るのと出来ないのでは大違いです。昔からある方法なのですがあまり知られていません。大まかに手術の概略を説明しますと、牛さんの肛門の横から外套の長さが50cmの特製の套管針を直腸に入れている手にそって刺していき、膀胱にさした後内套を抜いてカテーテルを膀胱に留置し排尿させるという手術です。最初は50cmもある套管針を肛門の後ろから刺していくので非常に勇気が必要で戸惑いますが慣れてしまえばこんなに役に立つ方法はありません。出荷前の肥育牛が尿石症になった場合もバイパス手術をしないでこの処置をすることでBUNを下げることで問題なく出荷できますし他にも応用の仕方が多々あると思います。次回は小生が行う場合の手術の仕方を説明します。
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