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蓮沼浩のコラム
「第20話 「カテーテルをいかにして通すか」」

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2007年2月15日

 尿道峡でとまってしまうカテーテルをそれではどのようにして膀胱まで到達させるか。ここが非常に重要となってきます。尿石症の手術の最重要ポイントです。まずカテーテルに使うチューブですが小生はバイアル・インジェクター(13G×49 10先)のちょうど曲がった癖がついているところをはさみで切って使います。左の写真のような感じに切るのです。この曲がり具合が非常に重要です。これを尿道の中に入れて押し込んでいきます。しかしこのカテーテルも最初は尿道峡で大抵とまってしまうので少し引き戻した後に再び押し込んだりします。何回か行ってみてそれでも入らない場合はカテーテルの曲がり具合や先端の角度をはさみで切って変えてみたりします。リンゲル等を注射ポンプでフラッシングする場合もあります。正直言って結構難しいです。かなりの技術を要求されます。運もあります。でも、根性で通すしかないのです(涙)。小生は今までに何例もの尿石症の手術をしてカテーテルを通せなかったことは1度しかない、という先生を知っています。その1例も③の場合でザラザラ石が出てきて本当にどうしようもなかった場合だけだったそうです。時間もかかるし大変だけど必ずカテーテルは通すことが出来るのです。また余談ですがカテーテルを尿道の途中まで入れたところでカテーテルを通って尿が出てくる場合があります。その場合は膀胱麻痺もあまりひどい状態ではなく後でちゃんと排尿するのでしばらくその状態でおしっこを出した後に術創を縫合して手術を終えます。でも、いくらがんばってもどうしても膀胱にカテーテルを通せない場合があるのです。根性で入れろと言われても入らないものは入らないのです。次回はそのときの為の超必殺技?を紹介しますね。
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