2013年6月4日 7 全国和牛能力共進会(穂別町にて) 和牛全共は5年に1回開かれるため、和牛のオリンピックとも呼ばれています。大会出品牛に選ばれるだけでも名誉なことで、大会で1歩前2歩前に出ようものなら拍手喝采です。平成14年の第8回大会は岐阜県の高山市、清見村を主会場に開催しました。北海道からも出品し、数十年ぶりに7区で1等1席を獲得しました。7区は種牛部門で親、子、孫の3頭群が、揃いの良さと体型の良さを競い、その中で全国1位の栄誉に輝きました。 出品者は私の担当地区の穂別町の生産者で、開催の半年前には毛刈りや削蹄のお手伝いに、農協などの関係機関とともに農家へ行ったことが懐かしく思い出されます。出品した3頭は遺伝的能力も高く、北海道内雌牛育種価ベスト50位内に3頭とも入り、この種牛を基に種雄牛が造成されたほどです。その時、素晴らしい種牛に出会えたことに感謝しています。 和牛の改良は体型の良いことと、遺伝的能力が高いことを基準に選抜・保留しながら進める必要があります。優良牛を選抜し改良を進めるためにも、和牛にとって共進会は重要なイベントと言えます。肉質が良くて肉量が獲れる肥育牛(それに加えて味の良さ)が求められ、そのためにも雌側の改良は重要です。種雄牛にばかり目が行きがちですが、能力の半分は雌から遺伝します。地域内にいかに優良な雌牛を保留し、地域の遺伝的レベルを上げることが出来るかが、和牛産地の評価を左右するのです。 昨年の長崎大会と前回の鳥取大会で、宮崎県が各部門において優秀な成績を収めることが出来たのは、県を挙げて種牛の選抜と改良に取り組んだ結果と考えます。優秀な雌牛は県内に保留しその遺伝子を次世代に引き継ぎ、よりレベルの高い種牛の生産と種雄牛造成に結び付ける。生産者の地道でぶれることのない取り組みが、現在の宮崎を和牛王国にしたのです。 つづく 根室農業改良普及センター 出雲 将之 前の記事 牛さんとわたし (出雲普及員のコラム4-6) | 次の記事 牛さんとわたし (出雲普及員のコラム4-8) |