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牛さんとわたし (出雲普及員のコラム4-5)

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2013年5月21日

5 素人の和牛肥育(農業大学校にて) 

 北海道には農家子弟を実践的に教育するために、農業大学校があります。そこで4年のあいだ先生と呼ばれながら農業教育に携わりました。黒毛和牛の繁殖牛が10頭くらいいて、完全な繁殖肥育一貫経営をしていたので、生産した子牛は自家保留か肥育をしていました。年間に肥育牛を3~5頭出荷しましたが、肥育成績は結構良くて上物率100㌫に近かったように記憶しています。

 稲わらはやらず、ずっと切った乾草を飽食させ、配合飼料は系統の普通のものを使っていましたが、年間5頭出荷して4頭がA4以上でした。実際に体験して思いましたが、やはり飼料を最後まで食べ続けてくれた事が結果につながったと思います。

 学校ですから、育成段階は教科書通りの飼い方で無理をせず乾草を腹いっぱい食べさせていました。結果として腹の出来ていたことが、肥育で食いどまらずビタミンAが適度に下がって、サシが入ってくれたのではと推察しています。

 また、「北国7の8」の血統が多く、素牛の遺伝的能力も高かったと思います。はっきり言って牛飼いの素人集団である職員と学生でも、黒毛和牛の肥育が立派にできることを体験したことが、私のその後の肥育に対する考え方を確立したと思います。枝肉単価2,000円×枝肉重量500kg=100万円で、農業大学校の歳入にも貢献し総務課から感謝されました。
 
 農業大学校では学生が飼育していた馬が脱走して国道を走ったり、乳牛が牛舎から逃げて近隣酪農家さんで配合飼料を盗食するなど色んなことがありました。係長だった私はそのたびに、菓子折りを持って関係者に謝りに行きました。トラブルが発生した時には、どれだけ早く対応するかで心証が違うことを学び、頭の下げ方はその時に勉強しました。何でも勉強になります。

牛さんとわたし (出雲普及員のコラム4-5)

つづく

根室農業改良普及センター 出雲 将之

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