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前回お話したように、栄養不良の母牛からは質の悪い母乳が出ることが最近の研究からわかってきています。そして「質」が悪い母乳は子牛の消化吸収も悪くなります。下痢もしやすくなります。それでは母乳の「質」と「量」の改善をしようと急に餌の量を増やすとどうなるか。残念ながら子牛は白痢をします。「餌をやったら白痢をする。」という考え方の基にはこのような経験則があるのでしょう。これは母牛の胃袋の状態が急変して「質」と「量」も同じように急変するためといわれています。だからこそ分娩前約2ヶ月から少しずつえさを増やして胃袋の状態を安定させておき、子牛が生まれる前から「質」の高い初乳と母乳がたくさん出るように準備しておかなければいけないのです。そして分娩後も産褥期の子宮の回復と子牛に飲ませる母乳の分の栄養をまかなうための餌の量が必要なのです。分娩前後に牛さんの生理にかなった適切な餌の増し飼いをする。いかにして安定した胃袋の状態を作り上げ、そして維持していくか。子牛が生まれてからあわてて準備してもじつは遅いのです。分娩前からの母牛の飼い方が子牛を変えるのです。 |