(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
「第6話 「 白痢の原因のひとつの考え方 」」

コラム一覧に戻る

2006年10月16日

 母牛は子牛を生んだ後子牛に飲ませる母乳を作る栄養と産褥期の母体回復に必要な栄養と自分の体を維持する栄養が必要になってきます。つまり普段よりも多くの栄養が必要なのです。これは何も特別なことではなく、日本飼養標準にごく普通に記されていることなのです。分娩後に母牛が健康を保つためには体を維持するエネルギーの倍近くの栄養が必要なのです。それなのに白痢をするからといって餌の量を減らすとどうなるか。当然母牛は自分の体を維持することで精一杯となり、産褥期の回復が遅れ、母乳の「質」と「量」が低下します。この母乳の「質」という点が非常に重要なのです。子牛が「白痢」をするのはたくさん飲みすぎて下痢になるという母乳の「量」の問題よりも「質」の問題のほうが重要であるということが最近の色々な研究でわかってきています。母牛の能力もありますが、適正な栄養状態の健康な母牛からは「質」のよい母乳が普通に出ます。栄養満点の初乳と母乳をしっかり飲んでいる子牛は病気にも強く、元気に育つのです。
|