− 第7章 ワクチン実施上の注意 その10 −RSウイルス対策の重要性
問題となる病原体は、地域や時期で異なります。最近ではBVD−MDの2型というウイルスも問題となっている地域が多いです。俗に言う「牛粘膜下痢症」の新しいタイプですね。この病原体は、妊娠中に感染すると、子牛が免疫不全になることや、症状が口蹄疫に似てること、などの特徴があります。今時口蹄疫そっくりの症状が出たら絶対びびりますからね。
しかし全国を回ってみて、現状で牛さんを襲うウイルス性の風邪の中で、もっとも警戒が必要と感じているのは、RSウイルスです。これは一気に蔓延しやすく、また症状も悪化しやすいのです。重症例では口からピンクの泡(出血が混ざっている)をはいて死んでしまうものもいます。さらに、一度治癒したように見えても、肥育の中期にビタミンAなどが低下したときなどに、急に再発して大きな牛さんが死んでしまうこともある、猛烈なウイルスです。
実は、前回お話ししたL・K方式というものは、このRSウイルスを予防するのに効果的なものなのです。ですから、もしもBVD−MD2型をターゲットにする場合は事情が異なってきます。BVD−MDの2型を予防できるワクチンは、今のところ京都微研のキャトルウィン6のみですから(BVD−MDのみ不活化されている)、こちらを2回使うしかありません。
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