(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
松本大策のコラム
「生産性を阻害する要因(病気)を抑える (7−7)」

コラム一覧に戻る

2012年1月23日

− 第7章 ワクチン実施上の注意 その7 −

 肥育の導入時というのは、ウイルス性の病気を防ぎにくいやっかいな時期です。というのも、いろいろな農家さんで飼育されていた仔牛がセリと輸送のストレスをかいくぐって連れてこられ、肥育農場で群形成をする。効いただけでもストレスのてんこ盛りです。当然ストレスによって導入後すぐに免疫の低下が始まり、3週間程度は低い免疫でバイ菌と戦うしかないのです。

 しかも、それぞれの農場からいろんなバイ菌を持ち寄ってくる。たとえ同じ種類のバイ菌といっても、いろんな家柄があるのです(これを菌株といいます)。同じ大腸菌でも、それぞれの農場によっていろんな家柄があり、A農場の大腸菌には免疫を持っていたとしても、B農場の大腸菌には免疫を持っていない、などと言うこともよくあるのです。これが最も顕著に感じられたのが、以前のヘモフィルス・ソムナスという脳炎を引き起こすバイ菌でした。現在では、優秀なワクチンのおかげでずいぶんとなりを潜めていますが、沈静化しているように見えるときほど注意が必要なものです。最近、またヘモによる被害の報告を聞くようになりました。

|