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松本大策のコラム
「生産性を阻害する要因(病気)を抑える (7−3)」

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2011年12月12日

− 第7章 ワクチン実施上の注意 その3 −

 ワクチンというのは、ある病原体の抗原を人工的に与えて、その病原体に対する免疫を高める、というものです。ですから、しょせんはその動物の持つ免疫機構の働きに頼っているわけです。ですから、もしその動物に免疫の抑制が起こっているときにワクチンを打っても、効果は上がらないということなのです。

 ワクチン接種時期を決めるのに、とくに注意しなければならないのは「群れの移動」つまり群編成によるストレスです。人間も、いろんなストレスがありますが、最も強いのは人間関係のストレスでしょ?それと同じように、牛さんも個別に哺乳されていたのが急に育成マスで多くの他の牛さんと群れを作らされると、群編成ストレスで免疫が抑制されるのです。群編成ストレスによる免疫抑制は、群編成後15分くらいで始まり、2週間前後が最も免疫が低下し、3週間後にようやく回復してくる、と言われています。その間にワクチンを打っても効果は上がらず、ワクチンのストレスだけがさらに上積みされるというわけです。

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