(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
池田哲平のコラム
膀胱炎を考える(まとめ)

コラム一覧に戻る

2013年3月22日

 膀胱炎は決して珍しい病気ではなく、よく起こる病気の一つです。その診断や治療は、泌尿器の解剖学的な構造や生理学的な仕組みがわかっていれば、迷うことも少ないと思います。

 しかし、尿石症との合併症として発症した時や、長い経過を経て慢性化してしまう時などには、治療への反応が悪く、根治には至らない時などもあります。

 結石による物理的な刺激によって、膀胱粘膜がひどく損傷をうけて、出血を伴う場合には、細菌の二次感染も起こりやすくなります。こういった場合には、必ず尿石症の治療も同時に行う必要がありますし、また、尿石症が起こった原因を追究していくことも必要になります。尿石症は食餌性に起こることもままあるので、一頭が発症した場合、同じ餌・水を与えられている牛群全体で続発する場合も多いからです。
また、粘膜の損傷部位を肉芽腫で置き換えようという反応が繰り返し行われるような場合には、「膀胱炎を考える(3)」で紹介したような、増殖性肉芽腫を形成することもあると考えられます。こちらはまだまだ分からないところが多い膀胱炎の一つですね……。

 いずれにしても、治療を行う際には、単純な菌感染による膀胱炎なのか、もしくは難治性のやっかいな膀胱炎の可能性があるのかを見極めて、農家さんに予めインフォームドコンセントを行うことが大切だと思っています。

|