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松本大策のコラム
「生産性を阻害する要因(病気)を抑える (7−1)」

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2011年11月28日

− 第7章 ワクチン実施上の注意 その1 −

 さて、せっかくワクチンを打っても、全く効果が上がっていない事例というものがあります。ワクチンだって安いものではありません。また、時間や接種プログラムの設定なども含めて時間コストもバカになりません。何よりも、効果が現れないということは損害防止の観点から大変ロスが大きくなるのです。せっかくワクチンを打つのですから、最大限の効果を上げられるように考えておかなければなりません。

 まず、免疫についての補足ですが、免疫は小腸にある「腸管免疫機構:GALT」というところで賦活されます。覚える必要はありませんが、物語のつもりで聞き流して下さい。詳しくいうと、免疫に関わるリンパ球は小腸にあるパイエル盤という部分で、敵、つまり病原体についての情報を与えられるのです。

 もしも腸管に寄生虫がいると、こういった免疫賦活の働きがじゃまされます。せっかくワクチンを打っても、寄生虫がいたら免疫抗体が増えてくれないのです。人間のワクチン接種の場合、日本は衛生的な国で寄生虫の問題がありませんから問題になりませんが、牛さんの場合はまだまだ寄生虫の寄生が問題になっています。ワクチン接種の前にはかならず寄生虫駆除を実施しておきましょう。じつは、海外の人間のワクチン接種や、我が国でも犬猫等のペットのワクチン接種の場合は、事前に寄生虫の駆除をするのが当たり前になっているのです。

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