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発酵床レポート! 第8話

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2013年3月19日

生涯、発酵床で過ごす牛たち!

 さて、今回ご紹介する農場は、北海道釧路管内鶴居(つるい)村の農事組合法人清和(せいわ)農場(代表理事:折笠文則さん)です。

 現在、搾乳牛440頭、育成牛260頭を飼養しておられます。労働力は、16名(構成員7名、雇用9名)で、出荷乳量は、約4,000tです。
 法人を設立したのは1964年で、長年、スタンチョン(繋ぎ)式牛舎で牛を飼養されていましたが、1999年1月、規模拡大に伴い発酵床牛舎を新築されました。

 農場では、なんと!なんと!哺育舎、育成舎、搾乳舎、乾乳舎すべての牛舎が、発酵床なのです。つまり、牛は生涯、発酵床で過ごすことになるのです!

 当初、発酵床牛舎を選んだ理由は、意外や意外!「フリーストールより建設コストが安いこと」でしたが、牛舎に牛が入ってから様々な変化が見られたとのことです。

 まず、ストレスが減ったからなのか、牛がおとなしく、のんびりした性格に変わり、とても扱いやすくなったとのことです。厳寒期の寒冷ストレスやエネルギーロスも緩和されました。

 つづいて、蹄病が著しく減少しました。これは、コンクリートの上を歩くことが減った為ではないかと思われます。

 そして数年後に現れた変化は、牛が長生きするようになったことです。これまでの平均産次より大幅に増加し、今では平均4産近くにもなるようです。快適な環境を提供することで、牛の能力が引き出された結果なんですね!

 ただ、上記のように快適な発酵床を維持するために、①膨大な敷料のコスト、②良質な敷料の確保、③手間と神経を使うこと、が必須条件になるようです。今後の課題は、これらの負担を少しでも減らすことができれば・・・とのことでした!

 フカフカでヌカ床に似た香りが漂うベッドに寝る牛たちを見ていると、いつも気持ちよさそうに寝ていて、何だかこっちまで幸せな気分になってしまうのです!!

発酵床レポート! 第8話

つづく

株式会社アース技研 植田 秋良

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