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松本大策のコラム
「生産性を阻害する要因(病気)を抑える (6−2)」

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2011年11月14日

− 第6章 ワクチンのお話し その2 −

 もう一個の弱毒生ワクチンの場合、弱らせてあるとはいえ病原体が生きていますから、生体が病原体を排除するのに時間がかかります。そのため、抗原が長く体内にとどまって抗体を作るのに貢献してくれるのです。ですから通常の場合、弱毒生ワクチンは1回で十分な免疫を作らせることが出来る事になっています。ただし、ここで注意しておかなければならないことが2つほどあります。ひとつは弱らせてあるとはいうものの「生きた病原体」を注射するわけですから、牛さんの身体が混乱して一時的に抵抗力が低下します(免疫かく乱といいます)。現場でよく耳にするのは、「肺炎のワクチンを打ったら子牛が一斉に肺炎になった。もう打たない!」という意見です。免疫かく乱によって、牛さんの中に潜んでいたバイ菌が動き出して悪さをするからです。これは、ワクチンとしてはきちんと働いている、ということなのです。ですから僕のコンサル先では、もしも生ワクチン(京都微研さんの肺炎5種混ワクチンなど)を打つときには、かならず持続性の抗生物質を同時に打つように指導しています。

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