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松本大策のコラム
TPPに再度反対します

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2013年3月18日

 安倍首相がTPP交渉参加を公式に表明しました。
「日本の農業を守る」ともおっしゃっていましたが、交渉参加各国とも「自国の物は売りたいが、自国に他国の物は入れたくないのだ」とアメリカのシンクタンクの研究員が話していました。
 確かにその通りだと思いますから、外交交渉で日本の農業を守ることが本当にできるのでしょうか?

 もしも、「農業を守る」という言葉の中に、「農業関連の関税が万が一撤廃されたら、農業の効率化などで守る」という意味合いが含まれているとしたら、僕は大きな問題だと思うのです。

 農業は「非効率」の中に、大きな役割を秘めていると考えています。たとえば棚田を何百枚も耕しているおじいちゃん。お米からの所得は年に2~30万円程度ではないでしょうか?
 しかし、そのおじいちゃんは温室効果ガスの二酸化炭素を吸収しお米にし、その代わり酸素を供給しているわけです。またお水を田んぼに蓄えることで水源としての働きや治山治水事業の肩代わりも、そして洪水を防ぐことで下流の漁場の保全も行っているわけです。

 もしも、農業生産の効率だけを追いかけるとすると、効率的な企業農業が主流になり、棚田のような「生産効率の悪い」農業は消滅するでしょう。

 そうなったときの付けは、目先の計算でのGDPの増加では補いきれない大きな物になると思います。

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